勝率が高いと言われるIPO。株式投資をするなら一度は挑戦してみたいものだろう。しかし、話が出てから実際に上場するまで時間がかかり、投資したくてもタイミングをつかめず困惑してしまう人も少なくないのではないか。
ここでは、最新のIPOスケジュールと、企業のIPO実施が決定してから、上場がなされ、IPO銘柄の取引が約定するまでのスケジュールを解説したい。
【最新IPOスケジュール】
上場日 | 会社名 | コード | 上場市場 | 詳細情報 |
12/15 | ダブルスタンダード | 3925 | マザーズ | |
12/11 | ランドコンピュータ | 3924 | 東証二部 | 12月11日上場決定!ランドコンピュータのIPOに迫る |
12/9 | ラクス | 3923 | マザーズ | 12月9日上場決定!ラクスのIPOに迫る |
12/4 | 鎌倉新書 | 6184 | マザーズ | |
12/3 | インベスターズクラウド | 1435 | マザーズ | |
11/27 | ネオジャパン | 3921 | マザーズ | 11月27日上場決定!ネオジャパンのIPOに迫る |
11/20 | ベルシステム24ホールディングス | 6183 | 未定 | 11月20日上場決定!ベルシステム24ホールディングスのIPOに迫る |
11/19 | ロゼッタ | 6182 | マザーズ | 11月19日上場決定!ロゼッタのIPOに迫る |
11/19 | あんしん保証 | 7183 | マザーズ | 11月19日上場決定!あんしん保証のIPOに迫る |
【目次】
上場に必要な条件
株式を市場で自由に売買できる状態にすることが「株式上場」である。株式会社は株式を発行することで資金調達しているが、上場によってより多くの投資家から資金を集めるチャンスが得られることになる。
株式上場に際しては、証券取引所で一定の上場基準を定めている。上場する市場によって基準は異なるが、ここでは日本を代表する証券取引所である「東京証券取引所」の形式基準を見てみよう。
まず、有名な大企業が多く所属する「東証第1部」。東証1部の形式基準は東証内で最も厳しく、上場時の見込み株主数が2200名以上、上場時価総額見込みが250億円以上であることなどが定められている。
「東証第2部」になると、第1部に比べ若干基準は緩いものの、上場時の見込み株主数は800名以上、上場時価総額見込み20億円以上となっている。
【IPO投資にねらい目!東証マザーズ】
東証1部・2部の基準を満たせればベストだが、創業から日の浅いベンチャー企業などでは、2部基準でも満たせない場合がある。それでも東証上場を希望する場合は、上場要件として見込み株主数200名以上、上場時価総額10億円以上など緩やかである「東証マザーズ」への上場を検討することになる。
東証1部・2部への上場は、投資家の企業に対する信頼度を高める上では有効だが、上場検討時に基準を満たしていない場合はまずマザーズに上場し、その後、条件を満たして東証2部・1部へと指定替えを受けることもできる。
2013年に行われたIPOの公募価格に対する初値平均高騰率は、東証1部、2部に上場した企業が24%だったのに対し、マザーズに上場した企業は147%であった。このように、マザーズに上場する企業のほうが高騰しやすい傾向にあるため、IPO投資を検討する人は特にマザーズに上場する企業に注目しておこう。
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企業が上場するまでのスケジュールと必要な期間
実際に企業が上場を果たすまでには、証券取引所に上場申請した後、審査を受け、審査に通過した場合は上場の旨を公表、晴れて上場という流れになる。
【上場申請・審査】
IPOの最初のステップは、証券会社に上場申請することだ。申請する際には主幹事証券会社の助けを借りながら行うことになる。つまり、上場申請時点で主幹事証券は決定していることになる。
上場申請の後、東証が審査を行う。審査には3か月ほどの期間がかかり、内容として公認会計士や社長の面談のほか、実地調査などがある。実地調査では、実際に会社の事業所を訪れて業務の実態が申請内容と合致しているかに加え、帳簿のチェックなどが行われる。
上場決定からIPO発行までのスケジュール
証券取引所へ上場が決定したら、すぐにIPOが実施というできるわけではない。まず、主幹事および幹事証券会社を決定する必要がある。これらは自動的にIPO実施時にその株を取り扱う証券会社となる。
【公募価格の決定】
また、IPO実施の際には公募価格(仮条件)も決定させておかなければならない。仮条件は機関投資家の意見を参考にしながら決定されるもので、あくまで「仮」ではあるが、次のブックビルディング時の価格に関係してくるので、大切な情報である。
大株主の保有株式を市場に流す場合は「売出し」、会社が新たに発行した株式を流通させる場合は「公募」と呼ばれる。売出しや公募を行うにあたり価格の設定を行うことになるが、この設定は2段階に分けて行われる。第1段階は「ロードショー」と呼ばれ、機関投資家に意見を求め、出された意見をもとに発行価格の範囲を決定する。
第二段階としては、第一段階を経て決定した範囲内で、「ブックビルディング期間」に個人も含めた投資家に需要申告を募り、申告された需要に応じて公開価格を決定するのだ。
ブックビルディングでは、投資家に対して需要を申告してもらう。仮条件で設定された価格の範囲と一定の刻みをもとに、投資家は抽選に当選した場合購入しても良いと思える価格で申告する。
【ブックビルディングの価格申請は上限の価格で】
概してIPOでは、抽選倍率が高くなることを想定し、ブックビルディング価格は最終的に上限に落ち着くことが多い。つまりできるだけ多くのIPO抽選に当選するためには、ブックビルディングの際の申告価格を上限にすることが望ましいということになる。
ブックビルディングが済み、抽選に当選、購入申込を行ってはじめて、申し込んだ価格でIPO株を購入することができる。
購入をしてしまえば、上場日以降に売り注文を出して売却することできるようになる。上場する時点で成り行きで売り注文を出しておけば、初値で売却することが可能だ。
IPO当選確率を上げる方法
IPO株を購入するためには、当然だが抽選に当選しなければいけない。そこで、できるだけIPO当選確率を上げるにはどうすればよいかを考えてみよう。
【複数の証券会社から申し込む】
IPO抽選は、複数の証券会社で行われる。ある証券会社で当選したからといって、別の証券会社で必ず落選するというようなシステムではない。したがって、できるだけ多くの証券会社から抽選に申し込むことで、トータルの当選確率を高めることはできるだろう。
【主幹事証券会社から申し込む】
ただしIPO取扱証券会社は多いため、資金の効率性を考えると、やみくもに多くの証券会社で申し込むよりも、当選しやすい証券会社に絞って抽選に参加したほうが有益な場合がある。では、当選しやすい証券会社というものは存在するのだろうか。
IPOでは証券会社ごとに取扱数量は異なるが、最も多く割り当てられることになるのが主幹事証券会社だ。多くのIPO銘柄では、70~80%ものIPO株が主幹事証券会社に割り振られる。
であれば、主幹事証券会社を含める形で証券会社を選択し、抽選に申し込むのが望ましいといえる。
IPO銘柄が買える証券会社
IPO銘柄が買える証券会社は数多くあるが、その中でもIPO取扱数量が多い証券会社、また割り当て株式数が多い引受証券会社を多く務める証券会社についてみてみよう。
【SBI証券】
主幹事を務めた実績もある「SBI証券」は、70%が申込口数に応じた抽選で割り当てる抽選方式に回される。つまり、余裕資金の多い投資家が有利となる。
しかし、SBI証券はIPO抽選に外れた際に付与される「IPOチャレンジポイント」を採用しており、このポイントを多く使用した人から優先的に30%のIPO株が割り当てられることになる。
つまり、少額投資者でもIPOチャレンジポイントを貯めればいつかは必ず当選できるのだ。
【マネックス証券】
「マネックス証券」では、完全平等抽選制を採用している。また、比較的に口座数が少ないことから、IPO抽選に参加する投資家は比較的少ないと考えられる。
割り当て数量が同じ場合には、当選できる可能性が高いため、IPO投資において狙い目の証券会社であるといえる。
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